US GAAP借手リースの費用認識 – IFRSとの相違点

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借手リースの会計処理について、基本的にすべてのリースにつき資産及び負債を計上するという点でUS  GAAPとIFRSは同じです。一方でリースの費用認識の方法については両者で違いがみられます。

ここでは、US GAAP(ASC842)借手リースの費用認識方法について、IFRS(IFRS16号)との主な相違点も含めて解説します。なお、日本の新リース会計基準はIFRS16号と同じ処理となります。

相違点の概要

US GAAPとIFRSでは借手の当初認識後の費用認識方法に違いがあります。IFRS16号は借手リースをファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類せず(単一モデル)、リース費用は使用権資産の減価償却費(通常は定額)と支払利息(前加重)に分けて計上され、リース費用合計はリース期間にわたり逓減する形で認識されます。

一方、ASC842では借手の会計処理はファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類され(デュアルモデル)、両者の費用認識の方法が異なります。ファイナンス・リースはIFRS16号と同様の会計処理になりますが、オペレーティング・リースは毎期定額かつ単一のリース費用(使用権資産償却費と支払利息の合計)が計上されます。

US GAAPオペレーティング・リースの費用認識方法

上記の通り、US GAAP(ASC842)のオペレーティング・リースの費用認識方法は、IFRS16号及び日本の新リース会計基準と異なっています。ここでは、ASC842のオペレーティング・リースの費用認識方法について解説します。

  • 使用権資産の減価償却費とリース債務から生じる支払利息を合算した単一かつ定額のリース費用を計上する。
  • リース費用はリース料総額をリース期間にわたり按分して算定され、毎期定額となる。使用権資産の減価償却費は、リース費用から利息法による支払利息を控除した額として算定される。
  • 使用権資産の減損計上後は、使用権資産の減価償却費は定額償却に移行する。

以下に、オペレーティング・リース費用の具体的な計算例をご紹介します(ASC842-20-55-22~29を参照して作成)

<前提>

リース期間10年のオペレーティング・リース

リース料は年額50,000ドル、当年度分を前年末に支払。初期直接費用15,000ドル。割引率は5.87%

当初リース負債=342,017ドル

当初使用権資産=当初リース債務+初期直接費用+期首前払リース料

      =342,017ドル+15,000ドル+50,000ドル

      =407,017ドル

年間のリース費用、1年目末の借手リース負債及び使用権資産の帳簿価額は下記の通り計算されます。

リース費用(定額) リース料総額515,000ドル(リース期間中のリース料合計+初期直接費用)÷ 10年 = 51,500ドル
1年目のリース債務 当初リース負債-期末に支払ったリース料+支払利息

=342,017ドル-50,000ドル+20,076ドル(342,017×5.87%)

=312,093ドル

1年目末の減価償却費 リース費用から支払利息を控除した差額として算出

51,500ドル-20,076ドル=31,424ドル

1年目末の使用権資産 当初使用権資産-減価償却費

=407,017ドル-31,424ドル

=375,593ドル

 

<使用権資産の減損後の取り扱い>

上記の設例は使用権資産の減損前ですが、使用権資産の減価償却費は定額のリース費用と支払利息との差額として算定することから、リース期間の当初は小さく、期間経過に伴い増加します。

ただし、減損計上後は、使用権資産は定額償却となるため減価償却費は一定となることに注意が必要です。リース費用は、償却費が一定となる一方で支払利息は逓減するため、全体として逓減する形となります。

まとめ

以上より、US GAAP借手リースの費用認識方法・IFRSとの相違点についてまとめると、下記の通りとなります。

  • IFRS16号は、単一モデルを採用し、使用権資産の減価償却費(通常は定額)とリース負債に係る支払利息を別個に認識する。両者を合計したリース費用は前加重となる。
  • ASC842はファイナンス・リースとオペレーティング・リースに区分するデュアルモデルを採用。ファイナンス・リースはIFRS16号と同じ処理だが、オペレーティング・リースは単一かつ定額のリース費用を認識する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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