時価のある株式の評価差額の会計処理(日本基準, IFRS, US GAAP)

上場株式など時価(公正価値)のある株式を期末日の時価で評価する点については、日本基準、IFRS、USGAAPいずれも同じです。

一方で、時価評価する場合の評価差額の会計処理については、会計基準間で違いが見られます。

ここでは、株式の時価評価差額の会計処理の違いについて、整理してみます。

目次

  • 日本基準の会計処理
  • IFRSの会計処理
  • US GAAPの会計処理
  • まとめ

日本基準の会計処理

金融商品会計基準では、有価証券を保有目的により分類し、それぞれの区分に応じて評価差額の処理が定められています。

分類 評価方法・評価差額の処理
売買目的有価証券 時価で評価し、評価差額は損益に計上
満期保有目的の債券 取得原価または償却原価法で計上
子会社及び関連会社株式 取得原価で計上
その他有価証券 時価で評価し、評価差額は純資産の部に計上

評価差益は純資産、評価差損は損益計上する方法も認められる

 

時価のある株式については、時価の変動により利益を得ることを目的として保有する場合は「売買目的有価証券」、それ以外の場合は「その他有価証券」に分類されることになります。

両方とも期末日の時価で評価する点は同じですが、評価差額の処理は異なります。

  • 売買目的有価証券の評価差額は当期の損益に計上します。
  • その他有価証券の評価差額は純資産の部に計上されます(容認規定を適用する場合は評価差益のみ純資産の部に計上)。ただし、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、当期の損失として計上します(減損処理)。

IFRSの会計処理

IFRS9(金融商品)では、金融資産は、事業モデルとキャッシュ・フローの特性に基づき3つに分類されます。

各々の分類における評価差額の処理は下記のとおりです。

分類 評価方法・評価差額の処理
償却原価(AC 償却原価で計上
純損益を通じて公正価値で測定(FVTPL) 公正価値で評価し、評価差額は損益に計上
その他の包括利益を通じて公正価値で測定(FVOCI 公正価値で評価し、評価差額は純資産に計上(リサイクルなし)

 

時価のある株式については、原則としてFVTPL区分に分類されます。ただし、トレーディング目的で保有しているもの以外の株式については、FVOCI区分に指定することができます。

  • FVTPL区分に分類する場合、評価差額は当期の損益に計上します。
  • FVOCI区分に指定する場合、評価差額は純資産の部に計上します。
  • FVTPL、FVOCIいずれの区分にしても、減損処理は不要となります。

なお、FVOCI区分に指定する場合、指定後は株式の売却損益を損益計上できなくなり(リサイクルなし)、またFVTPL区分に分類する場合と比較して追加の開示が必要となることに注意が必要です。この点については、別記事にて解説します。

US GAAPの会計処理

ASU320(投資-債券)と321(投資-持分証券)は、有価証券を保有目的により下記の通り分類しています。

分類 評価方法・評価差額の処理
債券 トレーディング証券 公正価値で評価し、評価差額は損益に計上
満期保有証券 償却原価で計上
売却可能証券 公正価値で評価し、評価差額は純資産に計上
持分証券 トレーディング証券 公正価値で評価し、評価差額は損益に計上
売却可能証券 公正価値で評価し、評価差額は損益に計上

※公正価値が容易に算定できない場合の例外あり

 

時価のある株式については、トレーディング証券または売却可能証券に分類されます。

いずれの分類も期末日の時価で評価し、評価差額は損益に計上されます。また、減損処理は不要です。

まとめ

以上より、時価のある株式に関する分類及び時価評価差額の処理をまとめると、下記の通りとなります。

日本基準 IFRS US GAAP
分類 評価差額 分類 評価差額 分類 評価差額
売買目的有価証券 損益計上 FVTPL 損益計上 トレーディング証券 損益計上
その他有価証券 純資産の部に計上(リサイクルあり) FVOCI 純資産の部に計上(リサイクルなし) 売却可能証券 損益計上

US GAAPは、時価のある株式については、トレーディング目的以外であっても評価差額を損益計上することが要求されます。

また、IFRSではトレーディング目的以外であればFVOCI区分に指定することができますが、その場合は株式の売却損益についても純資産の部に計上することが必要となります。

 

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